落下音 (2025年) 155分【ネタバレ・考察】不快純度100%で描かれる、死んだように生きる女の100年。


ネタバレなし感想

新しいホラーのジャンルが爆誕しました。
フェミホラー・フル不快。

これはタイトル間違えてますね。
落下音じゃなくて不快音ですね。

不快とはいえ、あからさまな胸糞描写があるわけではないというか、淡々と同じテンションのイメージです。
ここまでフルで絶妙な塩梅で不快な映画も珍しいなと思います。
どれだけエグい描写があるエクスプロイテーション作品でも退席したいと思ったことはないのですが、本作は途中退席したかったです。

余程退屈な作品で退席したいと思ったことありますが、本作の最悪なところは先が気になる点です。
退席できないんですよね。
最後まで観たい気持ちはあるものの、不快なんです。

ホラーの新ジャンル、不快

フルで不快という新しいホラーです。
嫌悪感や恐怖とまではいかない、絶妙な塩梅の不快が最後まで続きます。
1番居心地悪い不快感を維持し続けます。

あらゆるカタルシスを封じる

登場人物が考えていることが1ミリもわからない。
何が起こっているのかめちゃくちゃわかりにくい。
出来事の因果関係がめちゃくちゃわかりにくいです。

観終えても全くスッキリしない、永遠と不快なまま終わる映画でした。

物語がどこに向かっていくのかわからない

どこに向かっていくのかわからないものの、何かが起こりそうという緊張感はずっとあります。

不快なのに先が気になるので不快を耐えるのですがその先に待っているのは不快です。

物語がよくわからない

時代の入れ替わりがわかりにくく、登場人物がどの世代なのかわかりそうでわからないです。

観ているのに物語が積み上がっていく感覚がありません。
しかもどこに向かっているのかもわかりません。

フラストレーションが募ります。
1ミリもサティスファインさせてくれません。

明確に描かない

登場人物の感情や考えを、全く明確に描きません。
ポエティックでわかるところとわからないところがあり、ずっとモヤモヤしています。

わからなくて不快です。
終始モヤモヤします。

見えてきた物語も不快

直接的描写は出てきませんが、共感できる深い描写が出てきます。
少女時代の出来事を思い出して不快になりました。
物語よくわかんないのに共感できてマイナス感情を思い出す不快です。

フルで不快ASMR

ずっと不快な音が鳴り響いています。
フルで音が不快です。
ずっと本気で不快です。

誰が誰だかわかんない

頭の中で時代と登場人物がぐちゃぐちゃです。
見栄えも似ているので時代もぐっちゃぐちゃですし、誰が誰なんかわかりませんでした。

私はできれば予告編すら観ずに映画を観たいタイプなんで、本当に何もわからず観てました。
多分それが正しいんだと思います。
この映画の目的がカタルシス封印ってことなんだと思うので"わからないまま観る不快"が正しいんだと思います。

基本情報

In die Sonne schauen/Sound of Falling
落下音
2025年 155分

落下音

製作国:ドイツ

キャッチコピー:生きているのか、死んでいるのかはどこでわかるの?

あらすじ

1910年代、アルマは同じ村で、自分と同じ名を持つ幼くして死んだ少女の気配に気づく。1940年代、戦争の傷跡が残る中、エリカは片脚を失った叔父への抑えきれない欲望に気づき、自らの得体のしれない影に戸惑う。1980年代、アンゲリカは常に肌にまとわりつく“何か”の視線に怯えていた。そして現代、家族と共に移り住んだレンカは、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感に蝕まれていく。 百年の時を経て響き合う彼女たちの<不安>が、この北ドイツの農場を静かに覆いつくしていく——

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : マーシャ・シリンスキ
脚本 : マーシャ・シリンスキ/ルイーズ・ピーター
製作 : Lucas Schmidt/Lasse Scharpen/Maren Schmitt

キャスト

アルマ(1910年代)/ハンナ・ヘクト
エリカ(1940年代/戦後)/レア・ドリンダ
アンゲリカ(1980年代/ドイツ民主共和国)/レーナ・ウルゼンドフスキー
レンカ(現代)/レニ・ガイゼラー
スザンネ・ベスト
ルイーゼ・ハイヤー
クラウディア・ガイスラー=バーディング
リュカ・プリゾ

ポスター/パッケージ


⚠️ネタバレあり感想⚠️

気まず

え!笑
アルマって同じ名前付けんなよ!笑
亡くなった姉と同じ名前って本人が気まずいだろ!笑

あ、フェミ映画なのね

冒頭で脚を結んで松葉杖で遊んでた女が、
豚の世話をしなかったからって男にビンタされてました。

ああ、そういう話かと思いました。
フェミ映画なのかなと思ってフェミエンジン入れました。

そしたらそういう話じゃないっぽかったのでフェミエンジンを切りました。

そしたらやっぱりフェミ映画でした。
エンジン切っちゃったのでフェミ映画としてあんまり意識せずに観てました。

完全にゴーストエンジン入れちゃいました。
エンジンミスった。

ゴーストの話かと思った

亡くなったアルマの写真のお母さんがブレて幽霊みたいでした。
あれ?ゴーストの話かな?と思ってゴーストエンジン入れちゃいました。

違った。フェミエンジンで合ってた。

幽霊視点みたい

この映画、ずっと生きてるか死んでるかモヤモヤした空気感で進んでいきます。

社会的抑圧の中で生きて、しかも自分の意思とは関係なく搾取されて、何も悪いことしてないのに嫌な思いをさせられて、
生きてる実感が湧かないんだけど、ってことですかね。

いわゆる鬱っぽい状態だと思うんですけど、現実がどこかボヤけて見えていて、意識が朦朧としている感じ。

金縛りに合ってる気分

社会情勢的な閉塞感に加えて、田舎の閉塞感、さらに女であることの閉塞感も感じました。

意識はあるのに動けない感じ。
金縛りにあってるみたいでした。

漂う死の気配

死体に群がるハエがずっと飛んでるんですよね。
ハエがずっとうろうろしてるんですよね。

死んだように生きてるみたいでした。
アルマが『死んでるか生きてるかどのようにして判断するの?』と言っていました。

マジレスすると心臓が動いてるかどうかでジャッジするものですけど、
アルマが聞いてるのは"精神的な意味で"ということですよね。

自分らしく生きていけないのであれば死んでるのと同じじゃない?と、アルマの問いは哲学的な問いでした。
知識がないからこそなんのフィルターも無く見えてる現実があったんでしょうね。

水が感じさせる生と死

水ってイメージとして生命必需品ってイメージがありませんか。
作物、生物にとって必須のアイテムじゃないですか。
羊水とかも水だし。

でも同時にコップ1杯の水で人は溺死するともいうじゃないですか。
この水という要素も生と死を同時に意識させる嫌な要素でした。

単純に三途の川や〜みたいなことを思ってました。
日本人なので。

でもこれドイツの映画なので単純に生と死の境界線的な意味合いなんでしょうか。
メガネをかけたお母さんの妹は川を渡れませんでしたからね。

三途の川だと渡ったら死の世界ですが、この映画では渡れなかったら死の世界でした。

川や水という要素もめぐりあう時間たちで印象的だった要素です。

あれなんのイタズラ?

冒頭でアルマに似てる女の子が亡くなっていて、
中盤辺りで木に登ってるのに無視されてたので、
この子は実は死んでる的な話?と思ったら関係なかった。

本当にガン無視するイタズラだったんですね。
なんだあれ。

ここでまたゴーストエンジンかかりました。
すぐにエンジン切りました。

狂っちゃう母

娘を1人失い、息子を徴兵させたくないから脚を切断し、リアを送り出したら自殺し、
もうこの母親、地獄を生きてます。

いくら徴兵から逃れて息子の命を戦争から守れたとはいえ、自分の息子の体の一部を切断するってどんな思いだったか。
自分が歩けなくなるくらいの精神的ダメージということですよね。

リアってアルマの姉という認識でいいですか?
なんか家族いっぱい出てくるのでどういう関係性なのかわからないのですが、もしそうなら娘をお金のために働きに出したということですよね。
しかも送り出すときに『女としてちゃんと仕事しろよ』みたいなことを明確に言われてたのでそういうことですよね。
性的なものが仕事に含まれるということですよね。

それを母親として決断したところも地獄ですし、結果自殺されたのも地獄だし、この母親のシチュエーションえぐい。

意味わかんなくて倒れ込んで笑っちゃってたところは怖かったです。
素晴らしい演技でした。

女の人生ってなんなんだろう

自分の腹を痛めて産んだ息子は戦争で国に取られそうになるし、娘は性的に消費される商品として買い取られてったし、なんのために産んで育てるんだろうって思いませんか。
なんのためにこんな辛い思いしながら生きてるんだろうって、この母親が1番思っていたんじゃないでしょうか。
1番悲惨だった。

アルマのパートではアルマの視点や彼女の独白がメインでしたが、母親に意識がいっていました。

感じる視線

2回出てきましたね。
1回目はおじさんといとこの視線がライトで表現されていました。
あれ本気で不快でした。
ジロジロ見てんじゃねーよキッショっていう。

もう1回は現代の女の子(長女)が子供たちと遊んでいる時に上裸で、変な視線を感じて恥ずかしさを感じていたというシーンでした。

めっちゃわかる。
家族でプール行ったときに経験ありますね。
なんか変な視線で見てくるおっさんいるなっていう。

ただ見てるだけの人の視線とか、子供だから危ないんじゃないかって心配して見てくれてる知らん人の視線は気にならないんですよ。

でもどこか性的な意図を感じる視線は、性的なことを何も知らない子供でも察知するんですよね。
気持ち悪いというか恐怖というか。
この映画の女の子は恥ずかしさがメインって感じでしたね。

ああ、ここで描いてるものはあれかってピンときました。
嫌なこと思い出したわ。

妹かわいそう

現代パートの妹、川で置いていかれた時に1回自殺を考えて、その後に飛び降りで実行してしまいました。

これって姉妹あるあるなんですかね。
母親の愛情が傾いているっていう。

私は一人っ子でネグレクト家庭だったんで何にもわからないのですが、映画って平等に扱われない兄弟姉妹の描写多いですよね。
下の子に構いっぱなしで上の子がフラストレーションを抱えるっていうのはよく聞いたことありますし、描写としてもよく観たことあるんですが、この母親は長女の方が可愛いんですね。

死にたい

あんな歳で死にたいって思うって結構衝撃じゃないですか。
女の子って成長が早いから気が付くものが多いですね。

子供からしたら母親が全世界なので全て奪われたような気持ちなんでしょうが、あの幼い子供が自殺って怖すぎる。

野蛮少女、でも優しい

現代パートで、めっちゃ食事マナーが悪い女の子がいました。
蔑ろにされていた妹が食べたいといったアイスを譲ってあげていましたね。

あれを姉がしてあげていたらよかったのに。

てか、この野蛮少女が寝ようとした時に長女のお母さんに子守唄歌って欲しいっていってませんでしたか。
その時の手を持って引き止めるときになんか性的な何かを感じてめっちゃ気持ち悪さを感じました。
謎です。

しかもそれをガン見してる長女が怖いっす。

生気を口にする

最初の臍に溜まった汗を舐めるところ、
キッショ!と思いました。
そんなもん舐めんなよと。

あと足の裏から流れた血を頬に塗って、それを女が舐めるというシーンがありましたが、足の裏の血もキモかったし、それを率先して顔に塗るのもキモかったし、それを舐めるのもキモかったです。
1シーンなのに3重層でキッショ!と思いました。

臍って赤ん坊が栄養を得るところだし、血が暖かいのは生きてる証だし、生気を体液で摂取してるみたいでした。

キッショい。
観てるこっちは生気を失うんですけど。

臍に溜まった水を舐めるってのはもう一回出てきましたね。
なんか触ろうとして触れてませんでした。

バカなんか

なんなお外でチンコをコメカミに当てて、『Warm♪』みたいなこと言ってませんでした?
何してんだこいつキッショと思って笑っちゃいました。

なんだこの気持ち悪いシーン。

ナマズキャッチ・ゲーム

メガネをかけていたブロンドのお母さんですね。
笑っちゃいけないタイミングで笑ってしまうっていう失笑恐怖症のお母さんです。

なんか謎のナマズキャッチ・ゲームで『いや私には運がないから』って言いながらちょこっと参加して、娘がキャーキャー言われながらやっているのを眺めてましたね。
なんか切ない。
自分もああやって楽しめたらいいのにという表情に見えました。
でももうこの歳だし、みたいな。

そしたらその後に誕生日のお祝いをしてもらってました。
なんか絶妙な顔してましたね。
祝い方がトリッキーだったのもありますが、それに引いていたというより誕生日をもう喜べていないような表情に見えてました。

誕生日が嬉しくない

個人的な話ですが、私は今年30歳になります。
ここ数年、友人からお祝いしてもらうたびに周りの気持ちと自分の気持ちの温度差を感じています。

令和の子は信じられないと思いますが、私が思春期くらいの頃は"女はクリスマスケーキと同じで26歳を超えたら半額"という文言をちらほら見かけてました。

平成生まれの私ですら
女は歳を取ったら価値がない
女は若くないと価値がないという洗脳を喰らって育ってるので、このお母さんの微妙な顔に自分なりに感情移入してました。

謎のハピバ

ちょっと待って、あの車を持ち上げてシャンパンぶちまけるお祝いはなんですか?
車をわざとめっちゃ切り返さないと外に出せない木と木の間に移動させて閉じ込めて、ワーィ!みたいな。

あの迷惑なバースデーサプライズはなんなんでしょうか。
車ごと胴上げは怖いっす。

おじさんとセックスしてる

なんかおじさんとセックスしてるのは周知の事実だ!みたいなこと言われて泣いてたましたよね。

あれなんか取引してるんですか?
好き好んでセックスしているわけじゃないのに言いふらされていたから泣いていたんですよね?

お父さんのセリフ

『お前はいつも自然じゃない』みたいなことを言ってましたね。
ああ、わかる!と思ってまた不快な気持ちになった瞬間でした。
求められる役割があり過ぎるんですよね。
変面みたいなもんです。
察します。

ここではこういうポジションだからニコニコしておこうとか、異議があっても喋らずにしておこうとか。

あの子はそれをめちゃくちゃやるタイプの子だったんでしょうね。
そういう友達います。
自分らしさより場での役割を優先する子。
そういう子って八方美人ですし、男に舐められてるんですけど、周りが知らないうちに取り返しつかないくらい病んでたりするんですよね。

明日、君がいないの女の子を思い出しました。

直近のフェミ映画でのセリフ

マキシーンシリーズで3本全てに出てきたセリフです。

私らしくない人生は認めない

女が喰らい続けてきた差別は、抑圧なのかもしれません。
社会からの役割の押し付けが本質なのかもしれないですね。

ちょっと似てるわかりやすい映画

めぐりあう時間たちはもっとわかりやすい作品でした。
3つの時代の3人の女性の、運命が変わる1日を描いた作品です。
この作品も、社会の抑圧に揉まれながら、生を渇望したり、死をずっと意識していたり、本作と共通する点があります。

それにしても本作は分かりにくくて仕方がなかったです。

誰が誰だかわかんない

頭の中で時代と登場人物がぐちゃぐちゃです。
見栄えも似ているので時代もぐっちゃぐちゃですし、誰が誰なんかわかりませんでした。

もう誰が川で死んだ妹なのかわかんないんですが、多分冒頭でビンタされてたあの意味ありげな女の子で良いんですよね?
あの子じゃなかったらあんなに映す意味がないですよね?
あの子の姉がメガネをかけたお母さんですよね?

アルマと遊んでた子供達のうち、誰が誰の兄弟ですか?

メガネをかけた女の子はおじさんとセックスしていることをみんな知ってると言われていましたが、あの青年がいとこで、あの青年がおじさんって呼んでるってことはおじさんはいとこの親ではないということですか?
なに?どういう血縁関係?

なんかいろいろよくわかんねぇけどもう2度と観ねえよ。

余談


参考サイト