ネタバレなし感想
認知症視点で描かれた作品なのですが怖い。
この映画めっちゃ怖い。
自分が信じられなくなる恐怖感、そして自分が自分じゃなくなっていく恐怖感を追体験させられます。
映像もどこかホラーチックで不安感を煽ります。
そしてめちゃくちゃに悲しい。
映画館で観なくて良かったと思えるくらい最後は号泣でした。
この映画を観て良かったと思います。
基本情報
The Father
ファーザー
2020年 97分
製作国: イギリス/フランス/アメリカ
キャッチコピー:老いによる思い出の喪失と、親子の揺れる絆を描く、かつてない映像体験で心を揺さぶる感動作!
あらすじ
ロンドンで一人暮らしをする81歳のアンソニーは、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんななか、アンソニーはアンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。しかし、彼の自宅にはアンと結婚して10年以上になると語る男が現れ…。
※参照元:U-NEXT
日本版 予告編
英語版 予告編
スタッフ
監督 : フローリアン・ゼレール
脚本 : フローリアン・ゼレール/クリストファー・ハンプトン
製作 : フィリップ・カルカソンヌ/サイモン・フレンド/ジャン=ルイ・リヴィ/デヴィッド・パーフィット/クリストフ・スパドーン
キャスト
アンソニー:アンソニー・ホプキンス
アン:オリヴィア・コールマン
男性:マーク・ゲイティス
ローラ:イモージェン・プーツ
ポール:ルーファス・シーウェル
女性:オリヴィア・ウィリアムズ
サライ医師:アイーシャー・ダルカール
⚠️ネタバレあり感想⚠️
ホプキンスだからより悲しい
これアンソニー・ホプキンスをキャスティングしたのは天才ですね。
羊たちの沈黙で最強の男であるレクター博士を演じたホプキンスだからこそ、老いへの悲しみが協調されます。
何が何だかわからなくなってくる
テネットの比にならないくらい意味がわかりません。
なんかループしたりもするのでどこの時系列なのか全然わかりません。
記憶がグチャグチャになってく感覚を追体験させられます。
かなり支離滅裂な映像なので人によってはイライラするかもしれません。
私は中盤から認知症になったらこんな怖いことになるのかとビビチリらかしていました。
そして記憶を失うのはこんなに悲しいことなのかと泣きました。
これはキツイ
主人公は疑り深く、被害妄想が激しく、人に対して暴言を吐いたりしています。
認知症の症状としてあるそうです。
行動・心理症状(BPSD) 認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)には、次のようなものがあります。
- 不安、一人になると怖がったり寂しがったりする
- 憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなる
- 怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる
- 誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)
- 自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
- 目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう
引用元:こころの病気を知る - 認知症
同じものを買ってきてしまうという症状もありました。
青い買い物袋が二つ並んでいたのはそういうことなのか。
これ自分の父親ならまだしも、義父義母ならかなりキツイ。
他人ならもっとキツイ。
昔、こういう症状があったおっさんに絡まれたことがありますが、かなりストレスでした。
本当に支離滅裂で何言っているのかわからないし、
会話がループするし、
あっちが支離滅裂なのにこっちが話を聞いていないと言ってキレ散らかしてくるので、
死ぬほど暴言を怒鳴り散らかして追っ払ったことがあります。
あの人、老人というほどではなかったけど、もしかしたら認知症だったのかな。
この映画観た後ですら、あの時優しくしておけば良かったとも思えない。
これは八方塞がり。
家族地獄
アンの忍耐力には感服します。
ことあるごとに妹の話をし、妹を可愛がる父親。
面接に来たローラの前でアンを罵るシーンは見ていられませんでした。
酷すぎる。
父親を殺す妄想をしていたとき、これはアンを責められないなと思ってしまいました。
『アンは母親に似て頭がキレる方じゃなかった』
これを夫に言ってしまいます。
嫁がしんどい思いをしながら介護しているのを見ていて、さらに自分もかなりストレスを受けている中でこの発言を聞いたら、ブチギレますわな。
夫も忍耐力ある方よね。
繰り返される会話
妹のルーシーが死んだことを忘れているようで何回も妹の話をします。
ルーシーはアンにとっても家族ですから。
これ言われる度に妹を失ったことと、父親が自分より妹が好きということを思い起こされるのしんどすぎる。
心底ゾッとした
ルーシーに似ているという介護士に対して、ご機嫌でマシンガントークしているかと思ったら
『妹のルーシーにそっくりだよ、その不愉快な馬鹿笑い』
ここからのシーンが地獄すぎました。
『お前より長生きしてやる』
これを娘に言うのは中々ですね。
こんなことになってしまうんだ。
なんかめちゃくちゃ怖いシーンでした。
『いつまで僕をイラつかせるつもりなんです?』
老人虐待のシーンですね。
そこまで重くないビンタなのですが、しんどすぎる。
アンソニーが可哀想過ぎて泣けました。
でも夫も明らかに限界がきているからどうしようもない。
八方塞がりです。
何かのせいにできたらいいのに、誰も責められない。
この家族が救われる手立てが全く見えず、心が追い詰められます。
多分以前はいいお父さん
家族写真を必ず枕元に置くんですね。
めちゃくちゃ娘たち好きっぽいし、アンが最後の最後まで見捨てずに面倒を見ていたところをみると以前はいいお父さんだったんだろうなと思います。
『アン、いろいろありがとう』と言ったり、エレベーターでアンの髪を褒めたり、何かあればすぐにアンを探したり、妹がどうのって言うけどアンへの愛情を感じます。
なんかかわいい
服の着方がわからなくなって、アワアワしているところ可愛かったですね。
ルーシーの事故の夢を見たとき、起きてドアを確認しに行くのも可愛かったです。
『ここで暮らした方がいいと思うの』
『お前はどこで寝る?』
アンの寝る場所心配してる。
一緒に暮らす前提で考えているのが可愛かった。
『これじゃあ辻褄が合わない』
そうなんだよね。
辻褄が合わないんだよね。
きっと説明をしてあげたとしても、説明している最中も内容を覚えていられないだろうし、本人を混沌としている記憶から救えないですよね。
アンソニーに時間をかけて会話してあげることで救われるならまだしも、これ何もしてあげることないので辛いですね。
悲しすぎるラスト
『すべての葉を失っていくようで、何が何だかわからない』
話しているうちに何を言おうとしているのかも、自分が何をしているのかも、ここがどこなのかも忘れてしまって混乱していました。
自分のことも思い出せなくなっていた、、、。
このまま記憶は消えていく一方なんですよね。



