嫌われ松子の一生 (2006年) 130分【ネタバレ・考察】メンヘラの解像度が高い、弱者女性によるミュージカル映画。


ネタバレなし感想

嫌われて当然なバカ・メンヘラ・アダルトチルドレンな底辺女を
徹底的にバカにしたコメディ・ミュージカルでした。

パワフルな映画

体力がある日に観た方が良いかも。
130分間、テンポ良く、濃いめの物語が怒涛に展開していきます。

さらに画面の情報量も多く、彩度もビビットで絵力も強いので、胃もたれしました。
登場人物も多いので体力がある時に観た方がいいかもしれません。

初視聴の頃は、私のコンディションの問題だったのか、どちらかというとこの映画嫌いでした。

メンヘラの解像度が高い

原作があるようですね。
それにしてもメンヘラがどのようにメンヘラになり、どのようにして選択肢を誤っていくのかが如実に描かれていて凄い作品だなと思いました。

コレコレさんの配信を見ている人とかが好きそうです。
そして人生で2〜3人はこういう幸せにならない選択をし続ける人と出会ったことありませんか。

映像と物語の温度差で風邪ひく

どこか夢の世界のようなカラフルさで楽しそうなんですが、起こっていることは悲しいみたいなシーンがあります。

悲しい現実を明るく吹き飛ばしたくて歌っているのではなく、
不幸であることに気が付かずに、現実をきちんと理解できていなくて、明るい歌を歌っているみたいな印象です。

基本情報

Memories of Matsuko
嫌われ松子の一生
2006年 130分

嫌われ松子の一生

製作国:日本

キャッチコピー:松子。人生を100%生きた女。

あらすじ

昭和22年に福岡に生まれ、幸せな人生を夢見ていた少女・松子。やがて彼女は中学校の教師になるも、生徒が犯した罪を被り辞職する。そこから始まる転落人生。彼女と面識もなかった甥の青年が、その悲劇的な一生をたどっていく。

※参照元:Google


日本版 予告編

スタッフ

監督 : 中島哲也
脚本 : 中島哲也
製作 : 石田雄治、佐谷秀美

キャスト

川尻松子 - 中谷美紀(幼少時代:奥ノ矢佳奈)
川尻笙 - 瑛太
川尻恒造 - 柄本明
川尻久美 - 市川実日子
川尻紀夫 - 香川照之
川尻悦子 - 濱田マリ
川尻多恵 - キムラ緑子
龍洋一 - 伊勢谷友介
沢村めぐみ - 黒沢あすか
綾乃(斉藤スミ子) - BONNIE PINK
大倉修二 - ゴリ(ガレッジセール)
渡辺明日香 - 柴咲コウ
八女川徹也 - 宮藤官九郎
岡野健夫 - 劇団ひとり
岡野芳江 - 大久保佳代子(オアシズ)
島津賢治 - 荒川良々
佐伯俊二 - 谷原章介
小野寺保 - 武田真治
後藤 - マギー
汐見 - 渡辺哲
杉下教頭 - 竹山隆範(カンニング)
田所文夫 - 角野卓造
マネージャー・赤木 - 谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)
宿屋売店の男 - 甲本雅裕
片平なぎさ (本人役)
本田博太郎(本人役)
田中要次(本人役)
女囚A:唄 - AI
女囚B:家族 - 山下容莉枝
女囚C:プライド - 土屋アンナ
女囚D:思い出 - 山田花子
婦警 - 木野花
係官 - あき竹城
牧師 - 嶋田久作
超人気シンガー - 木村カエラ
アイドル歌手 - 阿井莉沙
その他の出演者:江本純子、浅野麻衣子、星ようこ、蒼井そら、江口のりこ、松下萌子、榊英雄、鳴海剛、田村泰二郎、山本浩司、木下ほうか、片岡涼乃

ポスター/パッケージ



⚠️ネタバレあり感想⚠️

現代にこそ、刺さる映画

奇天烈な映像表現に気が取られてしまいますが、この映画、メンヘラの解像度が異様に高い。
メンヘラのメカニズムをしっかり理解した上で作られています。

SNSの発達によりメンヘラの思考や習性、なぜメンヘラになってしまうのかが普遍的に知られるようになった現代の方が、本作は評価されるんじゃないかと思いました。
2024年現在と、2006年公開当時に見るのとじゃ全然映画の印象が変わりそうだなと思いました。

2006年の公開当初はどんな評価を受けていたのでしょうか?
”支離滅裂な画面の中にだけ存在するピエロ女”くらいの印象だったのでしょうか?

個人的に本作は2024年、現在の方が評価されるんじゃないかと思いました。

不幸の幕の内弁当

機能不全家庭

主人公が不運のフルコンプリート過ぎませんか。

機能不全家庭育ち(AC:アダルトチルドレン)、ファザコン、メンヘラ、境界知能、鬱病、統合失調症、無職、ゴミ屋敷、ホームレス、殺人、自殺未遂、貧困、風俗、DV。

って、よくもこれでもかってほどの不幸要素を集めてきましたね。
ビンゴなら開きまくり。
ストラックアウトなら一等賞。

内容に反して明るいミュージカル

そんな内容に反して、この映画は不幸に塗れた女の有様を徹底的にPOPに明るく描いています。
なので感覚がおかしくなります。
三半規管が狂うというか、心のヒートショック現象が起きるというか。
初めての映画体験でした。

観やすいミュージカル

レミゼラブルやスウィーニトッドのような、ずっと歌い続けるタイプのミュージカルではなく、
シカゴやムーラン・ルージュみたいに登場人物の感情に応じて、シームレスにミュージカルシーンに繋がります。

ミュージカルが苦手な方にも受け入れやすいのではないでしょうか。
昭和ロマンに溢れた、平成のミュージカル映画でした。
私はめちゃくちゃ観やすかったです。

落ちていく快感

闇堕ちした松子

ジョーカー(2019年)でよく言われているシーンの比較ですが、アーサーは階段を登る時、とっても鬱な感じで登っていきますが、降りるときは踊りながら、楽しそうに降りていきますよね。
堕ちていくことはある種の快感。
そんな気持ち良さを感じました。

松子、ひたすらに不幸にしかなりません。

時代は変われど、繰り返される営み

平成の若者

平成のバカな若者たちが出てきます。

  • バンドマンになりたいだけで何もしないクズ男
  • 騙されてAVに出たバカ
  • 何も知らないくせに生きることの虚しさを語る若い女

これらの登場人物はこの後に出てくる昭和のバカな若者と重なる部分があります。
が、松子が生きた昭和と比較すると、平成のバカな若者の方がよっぽどマシになっているので、時代は改善していっているんだなぁと思いました。

主人公不在で明らかになる松子の人生

主人公は松子ではなく甥っ子でした。
松子不在で少しずつ松子の素性が明らかになっていくという展開は渇きと同じですね。
こういう話の進み方、結構好きです。

松子は光源氏へ宛てた超分厚いファンレターに自身の人生の全てを記したようです。
痛ファンすぎる。
どんな末路だったのか、少なくとも最期の精神状態のヤバさが伺えます。

キャラクター紹介が秀逸

不幸の幕の内弁当

クズ生徒を庇い、その場凌ぎで自分が罪を犯すって、メンヘラムーブ過ぎてこれはメンヘラの話なんだと察知しました。
序盤のエピソード1発で、松子がどんな人物なのかわる。優秀な構成ですね。

クズ男の借金を、自分が風俗で働いて返すみたいな。
根本的な問題解決には取り組まず、自分がマイナスを被ることで、表面だけ穏便に済まそうとするみたいな。
優しさを履き違えている人。
一見すると被害者のようにみえるけど、加害に加担しているともいえる厄介な人物。

嘘つきは泥棒の始まりとはよく言ったもので、このような些細な悪事を見過ごした結果、この生徒が大犯罪者になってしまう可能性だってある。
本来ならこのクズ生徒を叱り、再販を防ぐことが必要ですが、これは難しいし根気が必要。
ですが、松子はそこまで思考が及んでいないうようです。

そして松子は、『おっぱい見せろ』と言われたら見せるし、怒られたら変顔するし、
どうやら追い詰められるとパニックになって思考停止してしまう様子。
境界知能っぽいムーブ。

こういう人って、ほっといても自ら不幸な道へ進んでいくよね。
不幸依存症のようにも見える。

アダルトチルドレン(AC)が抱える愛の呪縛

子供の頃の松子

アダルトチルドレンの特徴である自己肯定感や自尊心の低さは、人間関係の構築にも大きな影響を与えかねません。自尊心の低い人は、自分の価値や存在意義を周囲の人に必要とされることや愛されることで測ろうとします。 そのため相手に好かれようと無理をしたり、相手の言いなりになったりと、依存してしまう傾向が強いです。 一見普通の家族に見えても、親が子どもに無関心または過干渉、共依存、子どもへの愛情が条件付き、役割放 棄、子どもを褒めない・認めないなど、子どもが日常的にストレスを感じながら生活しなければならない環境は、すべて機能不全家族と言えます。

松子の不幸な自業自得だよねとも思えてなりません。
しかし、元を辿れば家庭環境が原因なのがしっかりと描かれていました。

母親不在、父親は昭和の男って感じで無愛想で愛情表現がない。
妹が病弱なこともあり、長女である松子は何事も後回しにされていた。
十分な愛情を注がれずに、自分の意思より、親の機嫌を伺うのが常態化している。
これは劣悪な成育環境であると言わざるを得ません。
せめておばあちゃんに世話をしてもらっていたとか救いがあればよかったのにな。
明らかに父親とのコミュニケーション不足、愛情不足な家庭で育ってしまっている。

松子は父親からの愛情を渇望し、自分の欲求に関わらず父親が喜ぶ行動を頻繁に取る。これは全く健全でない。
まさに機能不全家族で育ったアダルトチルドレン(AC)じゃないか。

下記のサイトに記載されているACのタイプでいうところの、

アダルトチルドレンの6つのタイプ
  1. ヒーロー(英雄)
  2. スケープゴート(生贄)
  3. ロストワン(いない子)
  4. ケアテイカー(世話役)
  5. ピエロ(道化師、クラウン)
  6. イネイブラー

ヒーロー、ケアテイカー、クラウンの特徴を持っているように見えます。

機能不全家庭で育った松子の発作

濡れ衣を着せられる松子

パニックになってしまった時に変顔をしてしまうのは、すでに彼女の心がどれほど壊れているかを表しているように思いました。
キャパオーバーな出来事が起きてしまった場合に冷静になって考えることができない。
松子の場合は変顔ですが、失笑恐怖症と症状が似ている気がしました。

失笑恐怖症とは、対人恐怖症のひとつで「笑い恐怖症」ともいわれています。
  • 笑ってはいけない場面だとわかってはいても笑いが止まらない
  • 何もおかしくないのに笑いがこみあげてくる
  • 笑ってはいけない場面で笑ってしまう
  • 我慢すると余計に笑いが止まらない
  • 笑ってはいけない場面で笑うのではないかと恐怖に感じることがある
  • 笑ってはいけない場面で笑っている自分が、周りからどう思われるか不安になる
などの症状があります。

もう誰か病院に連れて行ってあげてほしい。
心の健康があまりにも保たれていなさすぎる。

愛の種類

ベットシーン

親から無償の愛や、時に厳しい愛を注がれたことがなく、そもそも愛されていたという実感がない松子は、大人になってからもずっと愛の認識を誤っているように見えます。
本当の愛情と、愛に見えるだけの欲や、甘えとの区別がついていない。

子供の時に満たされなかった心の穴を埋めようと、松子は必死に何かに依存しているように見えます。
松子は最期の時まで、心の穴が満たされることがないことを知らなかったのかもしれません。

自称太宰治笑

松子に家族と絶縁してまでお金を工面させてしまったことで、自分がクズであることをより一層自覚してしまったがため、自殺してしまったんだろう。
境界性人格障害まで太宰治を辿るなよ。

精神医学的には(今となっては、診断はできませんが)、境界性人格障害が疑われます。
THE男版メンヘラって感じですね。

そして2番手の女に!

不倫で幸せな松子

『Happy Wednesday〜』

劇団ひとりの乳首いじってたのには笑った笑

自己肯定感が低いメンヘラって、やたら不倫相手や2番手の女や誰かのセフレになっていたりしますよね。
自己肯定感が低い人は仕方がないと受け入れやすいのでしょうか。
あり得ない私からすると、”バカにしてんのか”と思ってしまって関係すら持つ気になりません。

ナンパされた時にある種の侮辱を感じる感覚に近いです。
”簡単な女”だと思われたのか、と。
松子はとにかく自分に価値を見出してくれたと勘違いしてしまい、ついていきそうだな。

本妻がブスだったのを見て勝てると確信した松子もしっかりとクズですね。
相手も松子と同じ人間で、松子が相手の家庭を壊しているという気持ちはなさそう。
松子の中では"男が私を選ぶかどうか"という女比べという認識なんですね。
それで有頂天になっている様は、本当に低俗な女に見えました。

家庭環境に何があろうと、不幸になっているのはこの人の自業自得だな。

相手の既婚男は素直に自分の弱さと体目的であったことを白状し、慰謝料を渡してきただけ、まだマシでしたね。
多分、松子から慰謝料の請求はできなかったと思うので(性格的に)。

なんでヌードがないんだろう?

風俗の面接のシーンは中途半端だなと思いました。脱げばいいのに。

この映画はヌードがあった方が拍がつく感じがしたんですが、NGだったんですかね?
それなら脱げる女優を使った方が映画のテイストには合ってたんじゃないかと思いました。

ただ、地上波放送前提で制作したとか、そういう大人の事情でビジネス的にヌードシーンを入れなかったという感じなのかな。
制作もTBSっぽいですしね。

一線を越えた松子

ボロボロの松子

横領していた男を殺すとか、歌舞伎町でホストが刺された事件思い出しました。

20歳の男性の腹部を刃物で刺し重症を負わせたとして、元ガールズバー店長・高岡由佳容疑者(21)が殺人未遂容疑で逮捕された。

教員免許を持っていたでしょうし、風俗でも成績を出していたようですし、愛されるためならなんでもするという性格。
目的があれば努力ができる真っ直ぐな性格なのでしょう。
今までこれだけ努力してきた結果、何も得ることができないとなったら、人は一線を超えてしまうのでしょうか。
無敵の女ですね。

冴えない男は松子に搾取される

殺した後、逃げた先で荒川良々に出会うシーンは完全に福田和子を思い出しました。
髪型一緒だし意識してるでしょ〜。

福田和子は松山ホステス殺害事件の犯人である。犯行後、時効直前の1997年(平成9年)7月29日に逮捕されるまで約15年にわたり逃亡したことで広く知られている。

純粋で恋愛経験に乏しい男がああいう女にハマるのかな。
私の予想では、松子はああいう安定していて良い人と付き合ったら、退屈してしまって浮気に走ると思う。
松子は側から見たら不幸依存症です。
相手が自分に向ける暴力や搾取を、自分を必要としてくれている指標にしているようにも見えます。

あの2人はどのみち上手くいかなかったと思う。笑

映像で観るとこうなるんだ!印象に残っているシーン

誰でも思いつきそうなのに、意外と観たことがない映像が観れてテンション上がりました。

  • 刑務所内で、記憶が美化されていく様
  • 荒川良々がどんどんイケメンにすり替わっていくシーン、意外と見たことがない表現だったので面白かったです。
  • 外と塀の中で男女がすれ違うシーン
    交互に真逆のセリフを言うところいいですね。
    こういう形で男女がすれ違うのを表現しているのも見たことなかった。

他の映画でやってたら興醒めする可能性があるけど、この作品では浮いてなかったのがすごい。

女との絆

親友

男で散々な目に遭ったあと、女と絆を作るっていうのもどこか現実的な展開ですね。
テルマ&ルイーズを思い出しました。ニコイチになってく感じ。

しかし唯一信頼していた親友には夫がいて、いいマンションに住んでるってなると、劣等感に苛まれて一緒にいられなくなっちゃうのかな。
ニコイチだと思っていた相手が自分が欲しているものを手に入れている、と。
距離を感じてしまったのかな。

気持ちはわからなくはないけど、なんの利害関係も発生していない彼女こそ信頼すべき人じゃん。
メンヘラって選ぶべき女友達を捨ててチンコになびくんだよね。

見捨てなかった親友

『この人とだったら地獄でもどこでもついていくと啖呵切った顔が綺麗だった』

って、覚悟決めた女を綺麗だったと表現するのが極道っぽい。
親友はずっとカッコいい。

最後、松子の居場所突き止めて、あんな酷い姿でも関わろうとして、なんとか名刺を渡してくれた親友のシーンには泣けました。
これこそが無償の愛だと思います。
このシーンには泣けました。
見捨てないでいてくれる人がいるってそれだけで幸せなことですよね。

でも松子はこの愛に気がついていない気がするんだよな。

モンスターのアイリーンを思い出しました。
アイリーンは幼い頃から性的虐待を受け、愛を知らずに育ち、自分を利用しているだけの女に身を捧げ、身を滅ぼしてしまう。
そしてアイリーンはなんの見返りもなくアイリーンを気にかけてくれていたサンドイッチおじいをスルーしてしまう、、、。

大人になった元教え子

恋人を迎えにいく松子

再開した時、"何もかも俺のせいだ"って言ってたけど、松子の対応がそもそもおかしかったよ。
君は子供だったわけだし、変に嘘ついたワタワタしてた松子の自業自得だよ。

どちらも地獄ならって、結局、性欲に突き動かされて選択するところがめちゃくちゃメンヘラ。

悲劇のヒロイン症候群になるメカニズムにはいくつかあります。 その中のひとつに、自分が幸せになることに罪悪感を抱くタイプです。 「自分が幸せになってもいいのだろうか?」と思ってしまう人です。

『殴られても殺されても一人ぼっちよりはマシ』って。
あんたひとりぼっちじゃないんだよ。親友がいるんだよ。
やっぱ頭が悪くて、自己肯定感低くて、マンコに脳みそ付いてる女ってダメだね。

意味がわからなくてめっちゃ好きなシーン

五輪真弓の「恋人よ」が流れるタイミング最高だった。

宇宙

その後に宇宙服着てふわ〜は笑った。
マジで意味がわからない幸せ像。
松子の憎めないところはこういうところにあるんだろうな。

この期に及んで、爆笑させてくるこの映画

一緒に薬飲んで心中を図るとかまだ太宰治の影響受けてんのかよ。
と、思ったら薬をお互いの顔に吐き出した!?ww
結局ひよって警察に通報するのめっちゃ笑ったwww

映画も終盤に差し掛かり、こちらの体力も無くなってきたところで爆笑させんのやめてwww
おかげで体力回復したwww

男メンヘラのあるある?

あまりにも深い愛情に触れた時に恐怖を覚えるって、
マルキ・ド・サドのジュスティーヌや完全なる遊戯みたい。
どんなにひどい目に遭っても心が折れない女に恐怖を覚えて殺してしまうみたいな。

この感覚、私にはわからないんだよな。
徹底的に自己犠牲する人がいたら気持ち悪さを感じてしまうタイプです。
平等じゃないことが気持ち悪い。
ギブ&テイクのバランスの悪さは不快です。

松子は神じゃない

“松子は俺の神だったんです”
って反省できるのは偉いね。
この子はきっと根っから腐っていた子ではなくまともな家庭環境に産まれていればどうにかなったタイプな感じがしました。

でも松子はどう考えても神じゃない。笑
松子を神と呼ぶのには心底違和感。

松子は相手のために、自己犠牲を尽くしたわけでもありません。
自分が誰かに依存しないと生きていけないから、捨てられるのが怖いから自己犠牲をしていたんです。

愛情を履き違えているから、右の頬を叩かれた時、"左の頬も叩きたいのかな?"って差し出してしまうだけです。
愛と自己犠牲をもって、相手に"頬を打つことの虚しさや無意味さ"を教えるためではありませんし、
徹底的な非暴力を貫いているわけでもありません。

レ・ミゼラブルの牧師がジャンバルジャンに奉仕した優しさや愛ではありません。

ただ、ある種の救いを感じる気持ちは理解できます。
村西とおるの、"人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる。"に通ずる救いです。
下を見て安心するタイプの、上品じゃないタイプの救い。

人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる。――村西とおる魂の言葉 (祥伝社新書)

惨めな老後

年老いて男が相手してくれなくなった頃には完全に精神病んでゴミ屋敷住民。
からのアイドルに依存。やっぱり何かに依存しないと生きていけない人なんだ。

そしてアイドルが虚像だと知り、依存先を全てを失った後、統合失調症を発症、、、。
彼女が平成のメンヘラだったら、もっとマシな人生になっていたかもしれない。
こんな生活をする前に阻止できたかもしれない。

しょーもない最期

中学生くらいの子供たちに殺されるって、昔そんな事件あったね。
ホームレスが若者のいたずらで殺されたやつ。

被害者であるホームレスの男性と橋の下のテントで同居していた女性に対し、加害者は石を投げる等の嫌がらせを日常的に行っていた。決定要旨によれば、ホームレスを見下す意識のもと「遊び」感覚での犯行であった。

確かに松子は誰かに憎まれていなかったから知人に殺されることはないか。
不運というか、純粋な悪意でイタズラに死んでしまったというのもある意味、不幸な松子の締めくくりに相応しい最期かもしれませんね。

勢いで騙されそうになったエンディング

いい感じに終わらせようとしてるけど、松子は殺人者だし、天国にはいかないと思う。
ただこの映画には流されそうになるパワーがあります。

POPなメンヘラ映画でした。
とても面白かったし、不思議と松子をなんとか救ってあげたいという気持ちにさせられました。

補足情報


参考サイト