シャッター アイランド (2010年) 138分【ネタバレ・考察】圧倒される映像美と巧みな脚本であっという間に時間が過ぎるスリラー映画の名作。

 


ネタバレなし感想

光の使い方がすごい、映像が美しい、音もいい、演技もいい、テンポもいい、この映画凄すぎる。 138分と長尺の映画ですが長く感じない映画です。退屈させないの凄いですね。

ネタバレ厳禁の作品ですね。

とはいえ今回、2回目の視聴でした。
オチは覚えていたんですが、当時はあまり集中していなかったので内容はあまり覚えてなかったので良かったです。

オチ知ってても面白かったです。

基本情報

Shutter Island
シャッター アイランド
2010年 138分

シャッター アイランド

製作国:アメリカ

キャッチコピー:精神を病んだ犯罪者だけを収容する島から、一人の女性が消えた—。

あらすじ

ボストンの沖合に浮かぶ「シャッター アイランド」には、精神を病んだ犯罪者を収容する病院があった。四方を海に囲まれたこの島からある時、ひとりの女性患者が姿を消す。連邦保安官テディ・ダニエルズは捜査のため相棒チャックとともにこの島を訪れるが…。

※参照元:U-NEXT


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : マーティン・スコセッシ
脚本 : レータ・カログリディス
製作 : マーティン・スコセッシ/ブラッドリー・J・フィッシャー/マイク・メダヴォイ/アーノルド・W・メッサー

キャスト

テディ・ダニエルズ:レオナルド・ディカプリオ
チャック・オール:マーク・ラファロ
ジョン・コーリー医師:ベン・キングスレー
ドロレス・シャナル:ミシェル・ウィリアムズ
レイチェル・ソランド:エミリー・モーティマー
ジェレマイアー・ネーリング医師:マックス・フォン・シドー
ジョージ・ノイス:ジャッキー・アール・ヘイリー
アンドルー・レディス:イライアス・コティーズ
エセル・バートン:パトリシア・クラークソン
警備隊長:テッド・レヴィン
マクフィアソン副警備隊長:ジョン・キャロル・リンチ
ピーター・ブリーン:クリストファー・デナム
フェリーの船長:マシュー・カウルズ
看護師マリノ:ネリー・サイウット

ポスター/パッケージ



⚠️ネタバレあり感想⚠️

戦争神経症なのがわかった時点でテディの心がボロボロなのがヒシヒシと伝わってきました。
早くテディをどうにかしてあげて欲しいと思いながら見てました。
ちょっと気になったことをいくつか調べてみたので情報置いて行きます。

そもそもPTSDってなに?

PTSDの主な4つの症状 侵入症状(再体験): 恐怖の記憶が意志に関係なく、フラッシュバックや悪夢として繰り返し蘇る。 回避・麻痺: トラウマを思い出す場所、人、話題を避け、感情が麻痺する。 認知と気分の陰性変化: 自分を責める、誰のことも信じられない、楽しさを感じられない。 過覚醒(過敏な状態): 常に神経が張りつめ、イライラ、不眠、些細なことで驚く。
引用元:AIによる概要

先生がやっていた荒療治ってどうなの?

調べてみたら、ロールプレイング的な治療法がありました。

持続エクスポージャー療法/PE 療法 想像および現実エクスポージャーによって、患者はトラウマ的な出来事と、それに似てはいるが危険ではない出来事の区別ができるようになる。PTSDの患者は、トラウマとなった出来事について考えるだけでも、まるで被害が「まさしく今、ここで」起こっ ているように感じることが多い。トラウマ記憶への想像エクスポージャーを繰り返すことを通じて、トラウマを思い出すことでどれほど取り乱したとしても、再び被害を受けるわけではないことが理解されるようになる。

映画では患者の妄想が全部事実として全肯定してあげて、その後に現実を突きつけるという、結構メンタルにダメージを与えるやり方でした。
現実にある治療法は、トラウマと同じ状況を作り出して、その状況が安全だという体験を何度もさせるというものでした。
ロールプレイングで治療するっていうのは現実でもありそうですが、映画の治療法はなんか患者の精神により負荷をかけるようなものでしたね。

急に眩しくなることある?

劇中、主人公が光に敏感になるシーンがありましたが、過度なストレスがかかっときに自律神経の乱れによって光に過敏になったりするみたいです。

自律神経失調症とは血流の低下症状を主体とする疾患です。したがって、自律神経失調症で現れてくる【 眩しい 】という症状は、ほぼ血流の低下による症状と考えて良いでしょう。

ロボトミー手術と時代

1954年 ボストンと序盤で年代が示されていました。
どうやらロボトミー手術全盛期のちょい後が舞台のようです。

  • 1940年から1944年までの間に、アメリカ合衆国では684例のロボトミーが実施された。
  • 1949年は1940年代で最高の件数を記録し、アメリカで5074例が実施されたが、1951年までにロボトミーの実施数は18608例以上に上った。
  • ソビエト連邦の医師たちは、この処置が「人道の原則に反しており」「ロボトミーによって、精神病患者は完全な白痴へと変えられてしまうだろう」と結論づけた。1970年代までに多くの国で白質切截術は禁止され、いくつかのアメリカの州でも禁止された。

【日本でのロボトミー】

  • 1938年(昭和13年)- 新潟大学中田瑞穂、ロボトミー開始
  • 1975年(昭和50年)5月13日 - 日本精神神経学会が精神外科を否定する決議を可決(賛成473票、反対0票、保留39票)。ロボトミー手術の廃止を宣言。

割と最近まで実施されていたんですね。怖過ぎる。

洞窟の中での会話

『誰にだってトラウマはある』
どこからが異常でどこからが正常なのか、誰がどう定義できるんだ、という興味深い議論がありましたね。
これに関しても実験がされていたみたいです。

「精神科医が、正常な人と精神障害を持つ人を見分けられない」という実験である。 この調査研究によって、「精神病院施設内において正気と狂気を区別することは不可能であること」そして、「精神病院内において人間のラベリング(決めつけ、偏見)、および人間性を損なう危険性が存在すること」を結論とした。

今はうつ病は血液検査でわかるみたいです。
血液検査や脳波の検査など、客観的数値に基づいて診断が下されれば、本人も納得できますよね。

そして2009年、うつ病の患者と健常者との間で明らかに濃度が異なる物質が見つかった。それが「リン酸エタノールアミン(PEA)」だ。うつ病では、この物質の血液(血漿)中の濃度が明らかに低下していたのだ。

テディの妄言

最初から言ってることがわかりにくくて、何が目的なのかよくわからなかったです。
後で繋がるのかな?って思いながら見てたんですが、どうやら本当に支離滅裂だったみたいです。
まさかこの人が患者だったとは。

え?どこからその名前出てきたん?とか
殺さないなら何が目的なん?ってところはあったけど、これ映画だから後でわかるもんだと思ってた。

オチがわかっていても面白いです。
明らかに挙動がおかしい。
あまりにも感情的だし、トラウマを複数抱えているし、心が病んでいるとしか思えない人としてちゃんと描かれてました。

真面目な人

  • 俺はもう殺しはしない
  • 戦争なんかじゃない人殺しだ
  • 嫁も俺が殺したのと同然だ
  • この施設ではナチのようなことが行われている、俺が止めないといけない
  • チャックを救おうと崖を登ったり降りたり

この主人公の元の性格が如何に真っ当で真面目な人間だったのかがわかります。
『戦争なんかじゃない、人殺しだ』
ってのが、この人がどれだけ自責の念に駆られているかを表しているなと思いました。
正確に自分の行動を認知できる頭の良い人ですね。
それで自分が許せず、人のせいにもできない。
精神の病み方にまで人間性が現れているので、観ていて辛かったです。

戦争神経症、PTSD、アルコール依存症、うつ病、育児鬱、ロボトミー手術
50年代のアメリカの社会問題をここまでわかりやすく自然に絡ませた脚本も凄い。

先進的な精神科医

この精神科医が素晴らしいですね。
超絶人権派。
心の病は対話で治療できると信じているというのも応援したかったです。

『できるなら空想の世界にいさせてあげたかった』

切実過ぎる。
現実が辛すぎて精神が崩壊しているんだから、本人の苦痛が和らぐなら空想の世界にいさせてあげたい。
治せるなら治してあげたいけど明確な治療法が無い。
もし対話でいつか治るならそれまで待ってあげたい。
治らなかったとしても自然豊かな環境で生活させてあげたい。
神のように思えてきます。

なんか時折、精神科医が神のように見えてくるんですよね。
”精神”の先生もまるで神のようだった。

印象的だったシーン

マーリング先生の登場シーンが美しかったです。
椅子の背もたれが写り、少しずつカメラがスライドしてからゆっくりとお顔が見えるところ。

書類が舞うのも綺麗だった。

奥さんを背後から抱きしめるシーンも印象に残っています。

テディが見た悪夢の中で、『なんで助けてくれなかったの?』って娘が起き上がる時、
音楽もそうですが、まるでJホラーかのようでした。ゾッとする演出。

ジョージノイス(C棟のラスボス)と対面するシーンも印象的でした。
廊下を通るシーンなんてめっちゃホラーだった。
そしてマッチをする音がまるでシャッター音。
マッチの燃え具合がちゃんとシーンごとに合ってるのがすごい。

奥さんを打ったあと、血が流れるところは猟奇的でしたが美しかったです。
奥さんと子供達を並べたところは、ハウスジャックビルトを思い出しました。
テディは戦場でこんな光景をたくさん観てきただろうに。

朧げな目で『私の学校なの』ってのはやばかった。
もう会話成立しない人なんだっていう。
子供抱えて泣くシーンの絶望感はやばすぎる。
にしても3人を抱えて水の中を歩くってすごい体力ね。
重さとか忘れてんだろうね。
映像の絶望と相反して鳥の囀りが聞こえるのがいいですね。

アウシュビッツ

倒れ込んだ俳優の演技がすごかったです。

銃を足で遠ざけたとき、残酷だと瞬時に思いました。
この兵士は銃で自殺しようとしたけど、テディは長く苦しめるためにそれを阻止したと思ったからです。
ただ、これは銃に手が届いてしまうとこちらが撃たれる可能性があるから遠ざけたのだとも考えました。

しかし後半で彼は死ぬまでに1時間かかったと言及があったので、苦しめるために遠ざけたんですね。
最初の第一印象が合っていたんだ。
なんのセリフもないシーンでしたが、これだけ伝わってくるって凄すぎる。

神を信じるか?

愚問だろう。あんな地獄を見てきたテディが神を信じるわけがないだろう。
テディ、キレていましたが反論できていませんね。
キレる時の感じが、思っていることをうまく言語化できなくて、それでさらにストレスが追加されて怒鳴ったりキレたりしてしまっている印象があります。
”収容所の開放の場にいて、凄惨な現場を散々見てきた俺に神を信じろというのか?お前の想像力はどうなってんだ?”っていうことでしょう?

『この子がいたことまで否定するのか?』

息子は?
娘の悪夢しか見ないのはなんで?
息子はどうでもいいん?
異性の子供の方が可愛く見えると言われていますがこんなあからさまなことある?

諦めができれば

戦争で人がどれほど残酷になれるのかを見てきたテディは、この施設が患者を実験台にし、ひどいことをしているのではと疑っているみたいですね。
それをなんとしてでも止めようとすると。
トラウマと正義感が狂気に拍車をかけている気がします。
子供達を助けられなかった自分が許せないからより一層、正義感が悪さするのか。

セブンのモーガン・フリーマンみたいに現実に打ちのめされて理想を捨て去り、自分にできることを粛々と行う刑事の方が病まないのか。
SAWの刑事も自責の念に駆られて精神おかしくしていたな。

ちょっと笑ったところ

C棟のハゲがのタッチ!あんたが鬼!って言ったのには笑いました。唐突な巻き込まれ鬼ごっこ。笑

そのあと、C棟のラスボスみたいな奴と話をしますが、マッチぐれーじゃ、その広さは照らせねぇって!笑
健気にマッチに火をつけ続けるのは面白かった。笑

てかテディ、クライミング能力高すぎて笑った。
あんな崖よく登ったり降りたりできるな。

最後、テディが灯台に突入した時の『びしょ濡れじゃないかハニー』には笑いました。

水爆は内側に爆発する

精神病を表現したかのようなセリフですね。

にしてもこいつも水爆実験でなんらかのトラウマを抱えている様子です。
戦場に行っていたかはわからないけど、戦争の被害者なのか。

誰にだってトラウマはある

トラウマによっておかしくなる時があったとして、異常者と健常者の線引きはどこにあるのか、という問いでしたね。

神の贈り物は暴力

テディがあいつも兵役がありそうって言っていた警備員のセリフが印象的でした。

”昨日の嵐で、枝に刺されそうになった。神は暴力を愛している。
いざという時は食べ物の奪い合いで殴り合う。
攻撃する前に攻撃するのは人間の本能だ。神からの贈り物だ。”

的なことを言っていましたね。
プリオだからかわからんけど、インセプションみたい。
潜在意識に話しかけている感じがする。

テディはキレてたけど、私は人間の暴力性を肯定することで過去の自分への行いも肯定しようと言われているような気がしました。
暴力は人間の本能で、自分が殺されそうになったら相手を殺す。防衛本能だから生き残るために人を殺していたとしてもそれが摂理だと。
恐らくは元軍人っぽいから、彼もそうやって自分を納得させて正気を保っていられているのかな。

唐突なネクタイ・ディス

『君がくれたから大事にしていたけど本当はこんなタイ嫌いだった。』
え、なんで?可愛いじゃん。
これが男と女のセンスの差なのかな。

ダメだったよと首を振った時時の先生の絶望的な顔が、、、。

『どっちがマシかな。モンスターのまま生きるか。いい人として死ぬか。』

最後、テディ、と本名で呼んだということは
この問いは正気を失った2年間には無かった会話なんでしょうね。

自分が狂人だと認識した主人公はモンスターである自分をロボトミーで治療を受けていい人になろうと思ったんですね。

精神的におかしくなった理由も、自分がモンスターであることを受け入れられないから妄想の世界を作り上げていました。
正気に戻っても、モンスターである自分を受け入れないという選択だったわけですね。


参考サイト