エイン (2006年) 45分【ネタバレ・考察】在日外国人の子供として日本で生きる葛藤が当事者によって描かれた貴重な作品。


ネタバレなし感想

これは痺れましたね。
実際に監督の経験をもとに制作されており、リアリティがすごいです。
そして表現力が高いので登場人物の感情がしっかり伝わってきます。
血の通った作品という印象でした。

まさかの2006年の作品

外国人問題が活発な現代に公開される意義を感じる作品でした。
それが2006年に制作されていたことに痺れました。

孤独な中で制作した作品

時代が追いついたという感じですね。

監督がトークショーで言っていましたが、監督が日本に来た当時は今より在日外国人が少なく、孤立していたそうです。

ネットも一般的でなかった時代、今よりもよっぽど理解がなかった時代に日本に来て、この作品を作ってくれて本当に感謝という感じです。

実際のミャンマー人が演じている

実際に日本に住むミャンマー人が演じていました。

トークショーで言っていましたが、高田馬場のミャンマー料理店を回って、現地人を探したらしいです。

この辺も結構素晴らしいと思います。
作品のリアリティをさらにアップさせてました。

物凄くフェアな作品

監督は素晴らしいバランス感覚を持っているなと思いました。
それぞれの視点を丁寧に描写しています。

悪人を描いていない印象です。
それぞれのキャラクターの気持ちがちゃんと伝わってきます。

基本情報

Ein
エイン
2006年 45分

エイン

製作国:日本

キャッチコピー:異国日本。ミャンマー人兄弟が見つけた場所とは

あらすじ

僕の名前はアウンメイン13歳。 ミャンマーから日本に越してもう一年経つけど、 正直ここには慣れない。 どうして外国人というだけで変な目で見られるんだろう。 どうして父さんは日本人にペコペコしてまで働くんだろう。 どうして……。 父親と喧嘩した少年は兄想いで弱虫の弟と共に家を飛び出す。 二人が目指すのは遠くミャンマーヘ繋がる広い海だ。

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

スタッフ

監督 : ティンダン
脚本 : ティンダン
製作 : 蓮見宗一郎

キャスト

フォン・テェッキン・ウィン
ピイ・ピョオ・パイン
タ・タン・モウエ
スウィ・スウィ・ウィン
光石研(特別出演)

ポスター/パッケージ


⚠️ネタバレあり感想⚠️

めっちゃフェアに描いている

親の視点、子供の視点、取り巻く日本人の視点、それぞれを理解した上で、ものすごくフェアに描いてるよなぁと思いました。

なんの綺麗事もないですね。
めっちゃリアルな作品でした。

辛い思いをしている

孤立して、バカにされて葛藤していました。
しかも自国では優等生で人気者だったみたいですね。
なのに日本では孤立しているって本人からしたら本当に自分の国に帰りたいと思いますよね。

本人の意思じゃない

父親に勝手に連れてこられたので友人とも引き裂かれていました。

日本行きが決定した時、どれほど両親と子供たちでコミュニケーションが行われたのかは不明ですが、本人の意思かどうかってめっちゃ大切ですよね。

多感な時期に、親の仕事の都合で日本人が下に見られるような国に移住するみたいなことですよね。

勇気ある描写

はっきりと日本人への嫌悪感を描いてましたね。
素直に嫌いな時期がありました!って描いてくれているあたり、すごく当時の心情を曝け出してくれた作品なんだなと思いました。

綺麗事一切なしです。
めっちゃリアル。

父親は家族のための決断

『日本人に頭を下げて日本人はそんなに偉いのかよ!』ってお父さんと喧嘩していましたが、お父さんはお父さんなりに環境に迎合していたんでしょうね。

昨今話題になる、郷に入っても郷に従わない土葬したい外国人とは違い、この映画の両親は葛藤を抱えながらも家族のために歯を食いしばって郷に従っている印象でした。

しかも当時は外国人労働者も今ほどはいなかったはずですよね。
父親のポジションが1番しんどくないですか。
責任、覚悟がすごい。

ちゃんとニコニコする母親

ちゃんと馴染もうと、悪目立ちしないように食いしばってました。

ゴミを押し付けられても、相手に悪意がないのをわかっているため、波風立たせないように、マイノリティとして悪目立ちしないように立ち回っているようでした。

この映画の良いところはこの日本人の無意識的な差別に悪意を感じないところですね。
異国から来て大変だろうから捨てるなら渡しておこうみたいな軽い気持ちなんでしょう。
深いことは考えてないんだと思います。

一歩間違えたら村八分

ただ、日本の嫌なところはここです。
ここで嫌な顔をしたり、変な断り方をしたら一気に”あの外国人、関わらない方がいいよ”って噂が回るところですね。

あのお母さん、日本での立ち回りをすごく心得てませんか?
賢い。

弟は適応が早い

1番日本語が上手でしたね。
小学生なら言語の壁はそんなに苦労しないかもしれないですね。

肩を持ってくれる女の子がいてよかったですね。
惚れられてますよね。
めちゃくちゃかわいいカップルでした。

珍しいから絡んでくるだけ

あの時代の日本人って、差別とかそういう認識があまりにも欠如しているので、深いこと考えてないんですよね。
島国で珍しい子がいるから好奇心で話しかけているっていう。

質問の内容も好意的でしたね。
『なんで日本に来たの?いつまで日本にいるの?』

普通にただの相手へ興味があるという感じの質問内容でしたが、主人公からしたら差別的に感じたんでしょう。
男子たちのイジリがちょっと雑だし攻撃的なので、女子の質問も嫌な聞こえ方してたんだろうなと思います。

先に適応してる外国人

イタリア人なんでしたっけ?
同級生にもう1人外国人がいましたね。

このキャラクターの登場も対比になっていてよかったなと思います。
ピエロを演じることで早急にグループに入れてもらうという。
賢いと思います。

最初はピエロでもコミュニケーションが深まれば本当の友達ができるかもですしね。

警官のおっちゃん

『お前らは珍しいから特別なんだぞ』と言ってあげていました。

捉え方を変えればそうです。
強みとして活かそうと思えば強力な武器ですよね。

このおっちゃんもいいキャラしていました。
あと外国人の子供2人がふらついていても誰にも絡まれず危ない目に遭わなくて安心しました。

マイノリティであることはある種の武器

お笑い芸人はそれを利用して好かれていました。
彼らには強いマブダチがいたからポジティブに捉えることができていたんですね。

人と違うということを活かしてポジティブに捉えていましたね。

最後はお笑い芸人のライブにお邪魔して、一緒にご飯を食べて、先輩在日外国人に生きる術を教えてもらっていましたね。

素晴らしく現実的な解決方法でした。

補足情報

監督情報

ティンダン
Maung Thein Dan
1984年 -

ミャンマーの最大都市ヤンゴン出身の映像作家。6歳の時、単身赴任中の父親が暮らす日本に家族と共に移住。日本の永住権を持つ。

日本とミャンマーを行き来しながら、映像制作をしていたところ、ミャンマーのクーデターに巻き込まれて逮捕までされてしまったそうです。

壮絶な経験をしている監督でした。

引用元

余談

海外の田舎に行った時の経験

子供たちがやたらと話しかけてきました。
なんかわかりませんが、『日本のりんごってめっちゃでかいんでしょ!』って聞かれて”何言ってんだ?”と思いましたが、後で調べたら本当にでかいリンゴが日本にありました。

ガチ不快だった経験

あとこれは最悪だったんですが、『君もAVに出たことあるの?』と不快な質問を受けたことがあります。
迷惑なことに日本が変態国家として世界的に有名という汚名のせいで不快な経験はしました。

でも異国の地で外国人として生きるってこういうことですよね。
私はブチギレました。
普段は英語で詰まりまくって上手く話せないのに、怒りのエネルギーってすごいですね。
文法とか糞食らえって感じでブチギレ散らかしました。
相手はこんなに怒ると思っていなかったみたいでオロオロしてました。

その人は本当に悪意がなかったみたいで後日謝罪してくれました。
私はあまりにも人を許す心がないので許さずに存在を無視して過ごしてました。

外国人はアクセサリー

あんまり仲良くない知り合いとツーショットを撮ろうとよく言われました。
そうするとSNSで”日本人の友達と遊んだ”とポストされました。

しょっちゅうお出かけに誘われ、アクセサリー感覚で見せびらかされてました。
”私には外国人の友達がいる”というのがマウントなんでしょうね。
男女問わずです。むしろ女の方が近寄ってきました。

個人的にはあんまり気にせずいろんなところに出向いて、そこから友人を作って言語を教えてもらっていましたが、外国人として海外に行くってこういうことなんですよね。

目立つのには慣れていたのと、先方は悪意どころか好意的なのであんまり気にしていませんでした。

なんなら”お前、外国に実家にも帰らず1人でいるって、正月なんもやることないだろう!”ってことで友人の実家に招いてもらい、正月を過ごしたりしていました。

いろんな人にたくさんご馳走になりました。


参考サイト